「私三年の冷泉緋蝶!」
「に、二年の朴木音彩、です…?」
「よろしくね音彩ちゃん!…応援するから」
「え!?」
小声で言われた応援と言う意味を理解して思わず赤面すると可愛いと言われた、そんなことはありえません
「それにしても標準語仲間が出来るなんて思わなかった…!」
「わ、私もです」
なんて話してると財前くんが溜息をついた
「なー先輩ら、俺らそろそろ帰りたいんですけど」
「せやったな」
そう言って白石先輩がじゃあまたなーとしきってくれたので帰れる雰囲気になった
…あ、でも忍足先輩は最後まで何かブツブツ言ってた
「―――ほんま先輩ら間が悪すぎやねん」
「確かに神出鬼没だね」
「…(今回のは絶対ワザとつけてきたやろ先輩ら」
「?」
彼がそんな事を思ってるとは知らずに疑問に思いながら抱きつき直すと財前くんが朴木、呼びかけてきた
「何?」
「お前それわざとなん?」
「何が?」
「胸押し付けてきとるのわざとか聞いとるんやけど」
「なっ!!!?」
その発言に驚いて腕を放しそうになったが走行中だということにすぐ気付いて控えめに抱きついた
「ち、違うから!別にそういうのじゃ…!」
「知っとる、からかっただけやし」
「もう、財前くん!」
怒ると彼は何時ものように綺麗に笑った
…実際は見えないけど笑ったのは気配でわかったからあの綺麗な笑みを浮かべてるんだろうな
って…やだ私変態みたい…
少し火照った顔を、誰も見る人はいないのに隠す様に彼の背に顔を埋めた
…その後、抱きついてる相手の耳が赤くなったことに気付くものも、誰もなかった
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