居残り


『お疲れさまでした!』


皆で声を合わせていったのは分かんないけど多分数十分前くらい 
私は一人体育館に残ってひたすらシュートの練習や自分の弱点を克服しようとしていた


「っやっぱり両手打ちじゃないと安定しないか…」


女子と男子のバスケではやはり違いが出る、それでも男子の様な力強さがあれば試合に有利…なはず

自分は特に身長が高いわけでは無いので技術を磨くしかないのだ


「シュートは外さない、それだけはちゃんとしないと…」


技術といっても私は技を持っているわけじゃないし 

エルボーパス…はかなりの上級者じゃないと出来ないよね、フック…論外 
ダックインは女子が平均して身長高いわけじゃないから難しいし、ダンク…も論外 

でも一回でいいからダンクとかやってみたいなぁ、テニス部の千歳先輩?だっけ?
あの人身長高いよね 絶対ダンク余裕だと思う 

本物の翼で飛ぶってどんな感じなんですか?って聞きたいわ

…は、いけないいけない いくら好きだからってあひ○の空の世界に浸ってる場合じゃない


「はぁ…やっぱり瞬発力勝負か…」


私が周りから評価されている一番の所はずば抜けている(らしい)瞬発力だ 
誰よりも早く状況を判断してすぐ動ける、実際それでパスをもらってシュートしたことだって数えられないほどある 

と言っても反射神経は普通より少し上位だし
どちらかと言うと相手がどう出るかを考えた上だから頭脳プレイに近いんだけど…


「けど全国だしなぁ、そんなんじゃすぐ抜かれるだろうし」


どのくらいのレベルなのかと言うのが想像出来ない 
去年は試合に出てると言うだけで精一杯で相手の技量なんて見てなかった、その位精一杯だった


「一年前の自分が憎いわ…」


そう言って適当に放ったボールはリングにはじかれた


「…」


何も言わず小さな溜息をついて転がってきたボールを拾う 
わかってる、こんな事考えないで自分らしくプレーするのが一番だって

でもつい考えちゃう……ああもう!



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