目指すものは同じ



「っと」 


―――パスッ 綺麗な弧を描いてそのボールは静かにゴールへと入った



「ナイッシュー、音彩ちゃん!」

「今日調子いいやん!」

「はい、絶好調です!」


先輩達に呼びかけられ音彩はにぱっと笑うとすぐさまボールに集中する 
結果その試合は20点以上差をつけて四天宝寺が勝った


「音彩ちゃん今日お手柄やったね」

「流石次期部長さん!」

「よしてくださいよ、私部長なんて…」

「そう謙遜しなくていいって」



そういって先輩達に囲まれて私は困った様に笑った 
それからは順調に勝ち進んで関西大会では優勝を飾ったのだった

なんだが久しぶりに学校に来たような気分で登校すると、財前くんが珍しく先にいた


「あれ、珍しいね」

「朴木、おはよ」

「おはよー」


そういって席に座ると何時もの様に財前くんが後ろを向いてきた


「今日突然朝錬なくなってん」

「ああ、そういうことか」

「そういや優勝おめでとさん」


彼が笑って言ってくれたその言葉に一瞬キョトンとしてから財前くんを見て私も笑った


「財前くんも、優勝おめでとう」


でもお互いに油断はできないとわかっていた、全国の壁は大きいから 

女子バスケ部の去年は全国には行けたもののすぐに負けてしまったのだ 
あの時は私もまだまだで、全然サポートをすることが出来なかった


「今年は全国で優勝したいなぁ…」

「したい、やのうてするんやろ?」

「…そうだね」


彼の言葉を聞いていると自然と自信が湧いてくるから…頑張ろうって思えるんだ


「優勝するで、絶対」

「うん」


違う部活だけど、目指すものは同じなんだよね



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