自分が分からない

「朴木、寝た?」

「すぅ…」

「…はぁ」


ヤバい、ようわからんけど顔メッチャ暑い、絶対赤くなっとるやろ 


(何で俺照れてんのか意味分からん)


でも朴木に手を繋いで欲しいと言われたのは正直驚いた

…病気の時は人肌恋しくなるらしいしな、多分それやろ。


「…朴木」

「んぅ…」

「自分無防備すぎやろ」


彼氏でもない男に手握らせといて寝るなんて、病人なんやから余計に警戒せんとアカンやろ

まぁ俺がそないアホなことせんとわかっとるからかもしれんけど、


「警戒心くらい持っとけアホ」


…朴木、男とはどう仲良くすればいいか分かんないとか言っとったし
男友達なんてぶっちゃければ俺位なもんなんやろ
俺にとっても女友達なんて朴木位だ、後はキャーキャーいって来るだけのミーハーが多いしな

それにしたって面白くない
告白は断ったらしいがあんな親しげに話してたとか
今年同じ委員会になった先輩と、去年からクラスが同じ俺、どう考えても俺の方が付き合い長いのに


「なんや、これ」

嫉妬やろこれ、俺何でアイツに嫉妬しとんねん
俺は朴木の彼氏でも何でもないやろ


「自分がようわからんくなってきおった」


嘘だ、なんとなくわかっている気がする
でも自分でまだ認めたくなくて、ただ友達という立ち位置が心地よくて


「…朴木、体調良うなったら、休日付き合えや」

「ん…」

「学校放りなげてきたんやからそんくらいしろっちゅー…起きたら誘うから断んなや」

「…ぅ、ん」

「ふ…何寝事で返事してんねん」


なんだか可笑しくなって微笑したが
この時の俺は彼女の穏やかな寝顔を見たから微笑んでしまったのだと言う事に気づかなかった


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