訪問


(……はぁ!?)


電話がかかってくる瞬間まで会いたいと思っていた人物

確かに会いたいとは思ったが、声出ないと言った数分後に今から会いに行くなんて一方的な電話貰って…
一体どういうことだと思ったけど
取りあえず家の鍵あけておくからとだけメールを入れておいた


ダルい身体を引き摺って玄関のカギを開けると近くのリビングのソファに寝転んだ


(無理だ、死ぬ。早く薬効けよ)


なんて飲んで数分の薬にケチをつけながらボーっとしていると
不意に玄関の方で物音がし、誰かが入ってきた


「朴木、来たで」


…ホントに気やがったこいつ

どうせ家分かんないだろと思ったが美菜ちゃんなら笑顔で伝えそうだと思いため息をつく

部屋に行かれると困るのでリビングに居ると伝えるために、持っていた携帯で近くの机をコンコンと軽く叩いた
するとその音に気づいた彼が此方にやってきた


「…お前、なんでここで寝てるんや」

『だって二階上がるのダルい』


文字打つのメンドイなとか思いつつも打ち込むと思い切り溜息をつかれた、何故かイラッと来た


「…はぁ、しゃーない」


なにがしゃーないんだ

お前は健康体だからそんなこと思うんだとか内心悪態をついていると
此方側に回ってきた財前くんが軽々と私を持ち上げて歩き始めた


「っ!?(ちょちょちょ!何してんのアンタ!」

「部屋つれてくだけや、危ないから暴れんのやめ」

「…(簡潔でよろしい」


なんと言うか、こんな所で寝てたら悪化するだろ!とか色々言うことあっただろうに
その一言で全て纏めちゃってるよね、まぁ何時もの事だから気にならないし

…というか流石テニス部、私を普通に持ち上げるんだね、絶対重いと思うんだけど

一応持ち上げられた時に重いとか言われなくてよかったなと思う


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