人間嫌い





「うぅ・・・蔵ぁ、皆ぁ・・・・」

「緋蝶、何時までも泣かないの」

「でも、また暫く会えない…」

「・・・」



母は、涙は収まったがまだ涙目で鼻を啜る緋蝶の頭をそっと撫でる


「わかってくれ緋蝶…私達は貴女だけ置いて行くのは無理だ…」

「せめて、高校を出るまでは一緒に居たいのよ…」


父と母にそう言われてはもう何も言えなくなる緋蝶、凄く辛いけど、
それでも耐えるしかない…そして私は東京へと行くことになった。 





―――――― 東京 某所にて



(東京って聞いたからなんとなく氷帝か青学かと思ったのに)


そう思いながら私は目の前のそびえたつ高校を睨みつける


「どうしてこうなった・・・・」


校門には当たり前のように“来神”とあり、
何で混合しているのだと頭を抱えながらも職員室へと向かった


「失礼します、今日から転校してきた冷泉緋蝶いいます」

「おぉ君か」


そう言って担任らしき人物は挨拶をしてきた
そして緋蝶は昨日の電話の内容を思い出した


『…関西弁?』

『うん、こっちではずっとそれで通す』

『なんで?』

『蔵たちに会えないの寂しいから、傍に居る感じがするじゃん』

『緋蝶…』

『それに、仲いい人以外には必要以上に関わりたくないし』


緋蝶の言葉に白石は電話越しに苦笑したのがわかった。

彼は私が人見知りであまり人が好きでない事を知っている 
大阪に来た時も周りに壁を作っていたのに彼は、
彼等はそんなものあっさり乗り越えて此方に来てくれて

気付けば私はテニス部の皆にあっさり心を開いていた


『あーでも緋蝶の関西弁聞いてみたいわ』

『え?じゃあ学校で電話かけてきてくれればいいじゃん』

『あ、それや!その手があったわ!』

『ふふ…私から掛ける時もあるから出来るだけでてね?』

『おん!』



凄いハイテンションで返事を返された事を思い出して笑いそうになった時、
クラスの中から自分を呼ぶ声がしたのでゆっくりと教室内へと入る


「大阪の四天宝寺いう所から来ました冷泉緋蝶いいます、あんじょうよろしゅう!」


出来るだけ明るめに言ったその言葉はクラスの皆に好印象をもたれたようだ、
休み時間にも話しかけられて早速友達が数人で来ました。


しかし緋蝶は知らない、

この時期に転校してきたからと名前を覚えられていたことも
数ヶ月後にその人物に目をつけられることになることも ――――



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