日常1

「緋蝶…」
「んー?」

べったりと後ろから抱きつく彼はなんとなく疲れた様子だった
・・・が、しかし彼は試合をしていたわけでもないのだ。つまりこれは --

「白石、何ナチュナルにいちゃついてんねん」
「緋蝶充電してるだけや、これは必要な事なんやで!」

呆れたように言う謙也の視線の先には困った様な表情の緋蝶と
後ろからぎゅっと抱きしめ頭に顎を乗せ当たり前の様に言葉を返す白石 
そんな様子を見て金色と一氏は何故か対抗心を燃やすかのように自分達もいちゃついて見せる

さらに金太郎が2人を見てあー!と声をあげる


「ずるいで白石!ワイも緋蝶に抱きつきたいっ!!」
「金ちゃん…?」
「ひぃ・・・!毒手はいやや!」

それを聞いた金太郎があからさまに青ざめた表情をして後ずさった

「ぅー…蔵ちゃん私まだやることあるから…蔵ちゃんも試合あるでしょ?」
「せやけど…まだ充電できてへん」

ぐっと方を抱きすくめられる力を強めた所でパーンと軽やかな音を立てて白石の頭をノートで叩く音が響いた


「っ〜!財前…自分なにするんや!」
「次の試合出来なくて困ってんですわ、それと緋蝶先輩は次俺らのコートの審判」
「あーあー財前が俺らを引き裂こうとする…」
「…変わりましたねほんまに」

それは彼を知る者が皆思っている事だった、しかしそれは本人が一番思っている事でもある

「とにかく蔵ちゃんは試合いってらっしゃい」

べリッと引きはがされた白石は不満そうな表情をしたが、笑顔で送り出されたことにすぐ気を直した

「ん…すぐ終わらせるわ、謙也行くで」
「俺が不純な立場にいると思ってくれる奴はおらんのかい…」

若干乾いた涙を流している様にも見える
彼は早くしろとばかりの部長の背を追うのだった

「いや私も仕事あるんだけどね…と言う事で財前くん行きますか」
「…っす」

少し疲れた様に短い返事する彼に苦笑しながら白石とは別のコートに向かうのだった


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