寝る前の話




「ええか、消灯になったらすぐ寝るんやで?夜更かしはお肌の敵や」

「う、うん」

「誰が来ても開けないこと、男やったら危ないからな!」


飛びかからん勢いで肩に手を置いてぐわんぐわんと動かす蔵、酔うんで止めていただきたい


「流石に来ないと思うけど…」

「何かあったら俺の携帯にかけるんやで、なくてもかけてきてええけどな!」

「いや何を電話するんだよ」


というか部屋に入りたいのにこの人心配するフリして引き留めてるだろ、絶対。


「蔵、私もう眠い…」

「ん…あぁやっぱり心配や、おねむな緋蝶めっちゃかわええし…」


私はお前の頭が心配だと言いたいけどおねむとか言う蔵がちょっと可愛いとか思った私の頭も心配だ


「あ、白石こんなところにおった」

「あ、謙也くんこれ回収お願い」

「あー…おん」


一瞬めんどくさそうな顔をしたのはいつも一番迷惑が降りかかってるのが彼だからである、本当に申し訳ない


「いややー俺緋蝶と一緒に寝る」

「なっ一緒!?…だ、駄目やろ!」


いや一緒に寝るくらいで真っ赤になるなよヘタレスター


「一緒に寝る言うた位で真っ赤になるなやヘタレスター」

「ヘタレスターやないわ!スピードスターや!」


若干シンクロしてる事に悲しいのか嬉しいのか…いや、この場合は喜んじゃダメ、だよね


「じゃあ緋蝶緒おやすみー」

「うん、おやすみ」

「緋蝶!俺には!」

「はいはい蔵もおやすみ」

「おやすみー!」

「子どもかっちゅーねん、ほら行くで」

「いややー緋蝶―!」


引き摺られていく蔵はほんと悲しいほど子どもだった、他の学校の人見かけたら驚愕の光景だよね 
でもそんな蔵が嫌じゃないっていうのは慣れてしまったからなのか、それとも…


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