後輩の通話
「…お、あれ財前やない?」
あのシリアスな雰囲気から想像できないくらい回復した蔵 まだ寝るには時間があるしふらっと散歩することになったのだ
「あ、ほんとだね」
そんな散歩をしているとき、ロビーの窓側で涼みながら電話をしている
「ええって、俺んちくればええやん……おん、家族も会いたがっとるし」
「…絶対朴ノ木ちゃんやろ相手」
「だよね、絶対音彩ちゃんだよ」
二人で顔を見合わせて笑うと、そっと彼に後ろから近付いた
「ん、じゃあまた」
パチンと携帯を閉じた彼の肩をポンと叩くと彼がフリーズした
「…先輩らいつからおったんすか」
「うちくればーってとこから」
「…」
「照れんでもええやん」
「…照れとるんやなくて衝撃受け取るんですけど」
頭が痛いといったように眉間を抑えてため息をつく光くんに私も苦笑した
「でもいい感じっぽくて安心したよ」
「まぁ俺と緋蝶に比べたらまだまだ積極性が足らんで!」
「いや蔵は逆にありすぎ、光くん見習って自重してよ」
「えええええ!?」
「アホくさ…」
今ばかりは蔵の方が年下に見えたことを許してほしいと思った瞬間だった
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