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「まず卯月、俺は前々からお前がダイヤの原石であることをインサイトで見抜いていた」
「はあ(ダイヤの原石?」
「今日廊下でぶつかったのは偶然が生んだきっかけだ、お前が変わるな」
「変わる、きっかけ」
自信がなくて変わることを怖がってた私を知らないはずなのに、まるでそんな私の心まで見透かしたような言葉が私の心に強く響いた。
「でもここまで可愛いなら、普段からお洒落した方がいいって」
「だよなー、化粧無しでここまでいけるなら勿体無いよな」
宍戸くんと向日くんがそう言う中で芥川くんは「えー」と声をあげる。
「俺としては皆に教えてあげなくてもいいんだけどなぁ」
「ジローまさか」
「でも可愛いよひなちゃん」
「ありが、と」
皆から可愛いだのなんだの言われて少し恥ずかしくて頬を掻く。
芥川くんが意味深な事を言っているような雰囲気になっているけれど、私は何がなんだかさっぱりだ。
「所で卯月」
「はい?」
「俺の彼女になる気はねぇか?」
「え……か、彼女って!?」
「跡部、何言ってんの」
話についていけない私の手を取って不敵に笑う跡部くんに戸惑っていると、後ろから芥川くんに引っ張られ抱きとめられた。
「ほな俺も参戦するしかあらへんなぁ」
「あ、ずりーぞ侑士!」
「まぁ、最大の下剋上のチャンスですかね」
「お前らなぁ……こういうのはちゃんと内面を知った上でだな」
「じゃあ宍戸さんは一抜けですか?」
「は? 参加するに決まってんだろ!」
「全員参加、だな」
どういうことなのか、これはどういう状況だったのか。
確かに今日の昼までは今まで通り日陰な日々を送っていたのに。
なぜ私は、ファンクラブまで出来る程の人気者さん達に囲まれてこんなことに。
「絶対に振り向かせるぜ、覚悟しとけよひな」
急に名前呼びになったのとか、普段なら怒るだろうけど。
驚きと恥ずかしさと少しの嬉しさがそれを打ち消した。
さて、それはさておき明日からどうなるのやら。
面倒事を思い浮かべて嫌になりそうだったが、それ以上に明日からの学校生活が楽しみになっていることに、この時の私は気付いていなかった。
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