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「でもそっかーひなから見て俺カッコいいんだ?」

「誰から見てもそうだと思いますが」

「ひながそう思ってくれなきゃ意味ないからさ」

「なっ、何言って」

「わからない? 俺、凄くわかりやすく言ったつもりなんだけど」


驚いて隠していたのも忘れて顔を上げてしまった。
相変わらず眩しいほどの笑顔で笑うサエに、私は分かりたくないけどわかってしまった彼の意図に気づかないフリをしたくなった。

だって違う、絶対違う。自意識過剰だ私。
違う違うと頭を振る私の手をサエがそっと握った事によって私の思考や動きが停止した。


「その様子、わかったんだってとるけど」

「わ、わかんないっ!」

「往生際が悪いなー、じゃあわかるようにちゃんというから」


そう言ってもう片方の手で私の頬を撫でて、今まで見た事ない位甘い表情で私を見つめる。


「好きだよ、ひな」

「っ……」

「俺と付き合ってよ」


唐突の告白に動揺が隠せなくて、心臓とか今までにない位バクバクいってる。
恥ずかしすぎて視線逸らしたいけど、彼の手がそれを許してくれないし。
ぐちゃぐちゃになった頭の中の考えを切り捨てるかのように、口が勝手に動いた。


「私……その、す、好きとかよくわからないし」

「今ドキドキしてる?」

「してる、よ」

「それだけで十分だよ、絶対に振り向かせるが自信ある。だから俺と付き合って?」

「は、はい」



そう言うとほほ笑んだ彼。

そして周りから祝福するかのような拍手。


……拍手?



「ぇ」


周りを見渡したら、微笑ましそうに皆が拍手をしている。


「!!!」


そうだ此処教室だった!
それを思い出して、全部見られてたのかと思ったら恥ずかしくて死にたくなった。

そして今日から教室に来る度、このことを思い出すという本当に恥ずかしい日々が始まるのかと思うと憂鬱に、だけどそれよりちょっとだけ幸せを感じた。



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