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「おはようひな」
うおっまぶしっ!
毎朝そう叫びそうになるのをぐっとこらえて挨拶をし返す。
「お、おはようサエ。今日も眩しいね」
「そう? 日差しは柔らかいと思うけど……でも朝弱いひなには辛いかもね」
「あはは、そうだね」
違う。
確かに日差しも眩しすぎて目やられそうだけど、貴方のその無駄な爽やかさが私には眩しすぎるんだ。
サエこと佐伯虎次郎は千葉のロミオと呼ばれるほど無駄にイケメン。
何に関しても無駄にカッコいい、そろそろエクスタシー侍が斬りに来るぞ。
……ん?
エクスタシー侍ってなんだろう、なんで私そんな意味不明の単語知ってるんだ?
自分の考えに疑問符を飛ばしているとサエが「どうしたの?」と顔を覗き込んできた。
「ちょ、ちかっ!」
「はは、ひな顔真っ赤だよ」
「ううううるさい黙れ!」
「可愛いなー」
「かわっ!?」
こんな無駄にイケメンの顔が近かったら誰でも赤くなるわ!
というか可愛いとか普通に言うな!
どうせ私の可愛いレベルなんてたかが知れてるんだ、もっとかわいい子に言え!
「そうでもないよ、ひなは普通以上に可愛いと思うけど」
「え!?」
「声に出してたよひな」
「!!!」
不覚!私何してんの!
恥ずかしすぎると顔を両手で覆うとまた「可愛いなー」と頭を撫でられた。
え、この人なんで今日こんな無駄にタラシなの?
ほんと無駄なんだけど!
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