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「確かに、卯月とこのコスモスはよく似ているな」

「え?」

「淡く、しかし周りに染まらずに居る所なんかそっくりじゃないか?」

「なっ……」


今の、不意打ちだ。
柳くんとコスモスが似てる、だなんて思っていたことを思いだした手前、余計に恥ずかしい。

私は思わず赤面したまま固まってしまう。
柳くんは狙ったわけじゃなくて純粋に私のことを褒めてくれた。

だけど、好きな人にそんな褒め方されたら赤くなってしまっても仕方がないと思う。


「ピンクだな」

「え?」

「今のお前も、このコスモスも。ああ、今日のラッキーカラーはピンクだと言っていたな」

「っ〜!!」


少しからかうような口調で言われて何も言えなくなって居ると「そう言えば」と柳くんは思い出したような表情をした。


「コスモスの花言葉を知っているか?」

「真心とか愛情、だっけ?」

「ああ。更に詳しくいくと、色ごとに花言葉が分かれるんだ」

「そうなの?」

「赤は調和、白は美麗などと言ったものがあるな」

「へぇ……素敵」


凄い、そんなの初めて知った。
花言葉は奥が深いなと感心していると柳くんは「ピンクは」と口を開いた。

え、ピンクもあるの?


「ピンクのコスモスの花言葉は純潔、これもお前とそっくりだという由来の一つだ」


なんだろう、今日はやけに柳くんが私の熱を煽ってくるのですが。

あまりの恥ずかしさに両手で顔を覆うと、ふっと笑った柳くんがポンポンと私の頭を撫でた。


「ちなみに、偶々ついていたテレビのニュースで星座占いをやっていたのだが……」

「……?」

「今日の俺のラッキーアイテムは栞らしい」

「え」


それって、もしかして……


「忘れたのはわざとだ」

「!」



今日以上に占いに感謝した日はないかもしれない。


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