1
からんからん、こつこつこつこつ。
彼の二歩分は彼女の四歩分。
今日も朝から皆の視線を集めるこの二人、もはや学校公認名物にも認定されている光景が繰り広げられている。
「ちーくんちーくん」
「んー?」
「いつもごめんね、ちーくんトト○探しに行きたいでしょ?」
「気にせんでよか、俺はひなと学校に居るのも楽しか」
「ちーくん!」
これが他の人だったらただの恋人同士、学校公認名物なのは二人だからこそなのだ。
「おー相変わらずアンバランスやなお二人さん!」
「あ、けんちゃんとくらちゃんおはよー」
そう、この二人はアンバランスなのだ。
千歳は学校一身長の高い男子、ひなは学校一身長の低い女子として校内では有名だ。
その上この二人が付き合い始めちゃったからまたみんなの注目を二人占め状態だ
「千歳がひな抱っこしたら丁度良いんちゃうか?」
「あーいい考えったい」
「ちょっ! ちーくん急に抱き上げないで、重いよ!」
「いや、俺らから見てもひな風で飛んでいきそうやけどな」
「ちょっとそれどういうこと?」
「そんくらいひながちっこくてむぞらしか言う事ばい」
「ぅーお姫様だっこ、恥ずかしい」
その証拠に千歳はひなを持ち上げても苦ではない、周りから見ても暑苦しいバカップルどころかその行為さえ微笑ましく見える。
それは低身長で愛されオーラの出ているひなの成せる無意識の技でもある。
「俺としてはひなのお蔭で千歳が朝練にも顔出す様になって助かってるやで」
「そう?」
「おん、っちゅー分けでまた朝練で」
「ははは、今日も俺が一番乗りやでー!」
元気に走って行った謙也を見て苦笑しながら「ほなまた」と白石は王子スマイル振りまいて歩いて行った。
そしてそんな二人を見送ってから二人も歩き出す。
同じ場所に向かうのに先に向かったのは二人なりの気の使い方だろう。
「ねぇちーくん」
「どげんしたとー?」
「このまま歩き出さなくてもいいじゃん、恥ずかしいよ私」
「ひなは本当にむぞらしかねー」
「もう」
恥ずかしいと言いつつも、千歳の笑顔を前に強くは言えずに苦笑で許したひななのだった。
.
[ 68/80 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]