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「あ!」
「ん?」
昼休み、図書室に向かう途中の廊下で叫び声が聞こえて振り返るが…
「?」
こんな鮮明に叫び声が聞こえたのに誰もいないってどういうことなんだと首をかしげる
それにどことなく聞き覚えがありすぎる声だった気がするのだ
体ごと向き直って数歩戻ってみると階段のところにやはり聞き覚えのある声の彼がいた
「雅治くんなにしてんの?」
「う…!」
私が声をかけると不自然に数段上がって頭を抱えていた彼がバッと凄い勢いでこちらを見た
そして私を見るなり真っ赤(しかも若干涙目)になった
「ありがとう先輩、俺…」
「なに?」
「っ〜!!やっぱり無理じゃ!」
一気に階段を下りて行ったのが素晴らしく速かった
あまりにも速かったので思わずおぉと歓声を上げてしまったがふと我に返る
「…あれ?」
何で私今逃げられたんだろうとよく考えて彼の記憶で一番新しいのが昨日私を戦闘不能にしたあの出来事なわけだが
私は昨日ごろごろして比呂士に愚痴ったおかげで多少復活していたので忘れていた
つまり雅治くんのあの態度はふつう私がとるべき行動だったわけだが
「…うわぁ」
思い出したらまた恥ずかしくなってきて速足で図書室に向かう
ラッキーなことにまだ誰もいなかった図書室の一番奥の席に座ってうつ伏せる
「なんてこった…」
というかあんな大胆なことしておいて今日は会うなり赤面涙目という萌える様な要素置き土産して逃げるってどういうことなの
昨日の彼は一体どこへやら
イケメン要素は昨日で使い果たしたのか、やはりヘタレだったのか…
というか恥ずかしすぎるということばかり考えていて返事に対して全く考えていなかったことに気付いた
「申し訳ない…」
更に告白と言えばダイナミックな告白をゆっきーにもされていたことを思い出した
あれ、もしかして今私モテ期到来中なのか?
ゆっきーとは友達として仲良くしたいと思っていたし多分これからもそうだと思う
だけど雅治くんは…
「え…あれ?」
友達として仲良くしたいだけじゃなくて付き合ってるのが想像できないからゆっきーのはお断りしたのだが
何故か雅治くんと付き合っている想像をした時何故かまた顔が熱くなったのだ
「な、何故に…」
もしかしてこれは、そう言うことなのだろうか
私は自分でも気づかないうちにそう言う感情が芽生えていたのだろうかと動揺する一方であった
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