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「どうしたの雅治くん」


この前言ったことを覚えていたらしい雅治くんは私が居座っている図書室へと遊びに来た
そしらた何を思ったのか急に隣に座ったかと思ったら抱き着いてきたわけさ
というか座っても身長差があるから抱きしめられてるって感じだけど

…くそう身長が低くて何が悪いんだ!


「…ありがとう先輩は柳生が好きかの」

「ん?比呂士は好きだよ?」

「…俺より?」


うぐ、一瞬目が合って思わず息が詰まってしまう
まるでお父さんとお母さんどっちが好き?と聞かれた子どもの心境だ


「うーん…比べる対象が違うよ、比呂士は家族だから好きだし雅治くんはお友達だから好きだよ?」

「俺、友達じゃいやじゃ」

「え、友達嫌なの?」


それはショックだ
でもそうなると今の現状から考えて私が嫌いなわけではないだろう

じゃあ何なのだろうか、弟のように可愛がってると言っても嫌がりそうだし…


「この前の事」

「ん?」

「忘れたとは言わせないぜよ」


急に今までになく真面目な顔になるのでつい私も表情を引き締める


「この前のって…キスの事?」

「それしかないじゃろ」


そう言うと急にグイッと顔を近づけられる
流石に顔が近いままだと恥ずかしくなってくる


「俺も責任取るき、ありがとう先輩も責任とってもらうぜよ」

「責任ってな…」


なに、と続けようとした言葉が途中で途切れた
近すぎてすぐに気付けなかったけどこの前同様、マウストゥマウス状態になっていたわけだ 

…それになんか長い

あれは事故だったし一瞬だったから軽く流せたけどこうも長いと余計恥ずかしくなる


「ん、」


唇が離れた時下唇を甘噛みされた、犬か君は


「幸村には渡さん」

「雅治くん…」


再びぎゅうぎゅうと痛いほど抱きしめられて情けない声でいうものだからつい母性本能を擽られる
抱きしめ返しながら頭を撫でてあげると余計力が増した、これ以上強くされると私が圧死しそうなんですが

取あえず気がすむまでこうさせてあげましょうか


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