9
「…」
「姉さん珍しく静かですね」
「珍しくとか失礼しちゃう」
リビングのソファで体育座りをしていたら凄いものを見る目で言われて眉をひそめる
結局あの後部活があるからと場を切り上げたのはゆっきーだった
私的には美味しい展開だったけど雅治くんにとっては苦い思い出となっただろう
好きでもない女子とキスした挙句に男の子にまでキスされるとか
「…うわ」
私的には得にしかならない…ごめん雅治くん
私的にはそのまま君の人生はめくるめく薔薇色になってほしい。勿論あっち系な薔薇で
「姉さん」
「ん?」
「姉さんは…」
珍しい、この流れだと何笑ってるんですかとか行動がうるさいとか変に怒られるのに
「姉さんは幸村くんの事が好きなんですよね?」
「うん…?」
「彼を友達として好きなんですよね」
「そうだけど」
「…ならいいです」
「はぁ?」
この弟よくわからんぜ…あ、あれか!実は比呂士もゆっきーか雅治くんを狙っているのか!?
ゆっきーだったら今の返事で「ほっ」としだろうけど雅治くんだったら「っち」とかそんな感じなの!?ねぇどうなの!?
流石に弟にも直接的な発言は控えているので聞くことはなかったが
「仁王くんもショックを受けている様だったのであのことに変に触れないでくださいね」
「わかった」
「…仁王くんの事はどう思ってるんですか?」
「え、好きだけど」
「…それは幸村くんと」
「うん、同じだけど」
さらっというと今度こそ比呂士は安心した表情を見せた、え、やっぱり本命は彼なのか!?
「やっぱり比呂士は雅治くんの事…」
「違います!どうしてそっちに行くんですか!」
つい本音が洩れたらすごい勢いで怒られて少し凹んだ
「全く、こんなのが姉だと思うと呆れますね…」
「比呂士鬼畜毒舌最悪」
「…はぁ、こんな姉なのに姉離れ出来てない自分にも呆れますよ」
「えー…ぇえええええ!?」
今とんでもないこと言わなかったか!?
驚いて飛び上がろうとしたらそのままソファから転げ落ちそうになる
「大丈夫ですかブラコンの姉さん」
「君のおかげで大丈夫だよシスコンの弟よ」
隣に座っていた比呂士の私も驚くほどの反射神経で支えてもらって何とか少しずり落ちた程度で済んだ
なんだかんだ言って比呂士がここぞという時にイケメン発動するのが嫌だわ、流石我が弟
.
10/42
*prev next#
目次
栞