甘やかす忍足と控えめな子の話
「ゆ、侑士くん…!」

「どないしたん?」

「ぁぅ」


いつも通り輝かしい笑顔でこちらを見るもので、つい怯んでしまった
今日こそは、今日こそは言うんだから怯んでる場合じゃない!
自分にそう言い聞かせ声を絞り出した


「あ、あの…あんまり甘やかさないで欲しいな…なんて」


言えたよ!思い切ってその言葉を言った自分に拍手を送りたくなった
一方で私のその言葉を聞いた侑士くんがシュンとしてしまうので今度は慌ててしまう


「ありがとうは甘やかされるの嫌いなん?」

「や、そうじゃなくて…」

「ならええやん」

「ちょ…」

「俺ありがとうちゃん甘やかさな気が済まんからなぁ」

「ぅー…」



ポンポンと私の頭を撫でながら笑顔で言われるともう何も言えなくなってしまう 悔しいが私はその笑顔には弱いのだ
だからと言って彼はところ構わず一緒に居ると甘やかしてくる節がある、特に友達とかの前だとわざと見せつけるというか


「ありがとうちゃん?」


そしてこれ、ちゃん付け。甘やかしてる時は声が猫撫で声なのでなんとなくわかるのだが
偶に隠してるつもりなのか普通に甘やかしてくるときがある、そんなときの見分け方はこれ、ちゃん付けなのである。

普段は呼び捨てで呼ぶくせに甘やかしてる時は絶対、ついてなかったのを聞いたことがない位の確率でついている


「ありがとうちゃーん?そろそろ構ってくれへんと寂しさで死んでまう」

「きゃぁ」


ぎゅーっと抱きしめられて顔に熱が一気に集まったのが嫌でもわかる
そして彼は恥ずかしがり逃げ出そうと慌てだす私を可愛いというのだ


「所でなんで甘やかすの止めてほしいなんて思ったん?」

「それは…侑士くんが…」

「俺が?」

「ぁ…甘やかすの度合いが桁違いなんだもん」


そう、彼は過剰に甘やかしてくるのだ
普通に椅子に座る時引いてくれたりドアを開けて入れてくれたり、そう言うエスコートはされるとキュンとするし好きなのだが
もう彼のはエスコートにプラスが付きすぎて食事の時に私に食べさせてくれようとしたり揚句に歩くときも抱っこするとまで言い出した

これはもう家にまでおしかけてきそうな勢いでちょっと困る…でもそこまでは…いや、困るな


「うーん…普通やと思うけど」

「普通よりは果てしなく行き過ぎ、だよ」

「そないなこと言われてもなぁ…ありがとうみるとつい愛でたくなるっちゅーか…」

「え!?」

「まぁそこまで言うんやったら少し加減考えてみるわ」

「あ、ありがと」

「ありがとうちゃんの頼みなら何でも聞いたるで」


そう言った彼が早速甘やかす耐性に入っていることに内心苦笑しつつ予想がついていた自分がいたのであった。



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special thanks kuLo様 読者様
kuLo様のみお持ち帰りを許可します
p.s.
…控えめ要素がなくなっちゃっててすみません><


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