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「ありがとう、おはよ」
「ひゃ!?」
「こら仁王!ありがとうにくっついてんじゃねぇっていっつもいってんだろぃ!」
スポーツ万能で頭も良くて何よりカッコいい、女の子はそんな人と付き合いたいと誰もが夢を見るのだろう
やっぱり好みは人それぞれ違うけど、小さい時少女漫画やアニメを見て無意識にも憧れを抱いていたのを覚えている
でも大きくなってくると理想は理想のままで、実際に居るわけはないって思ってた
高校に入ってからはファンクラブが出来る程人気なテニス部のレギュラーさん達に驚いた
本当にカッコよくて、スポーツが出来て、頭もいい。
畏れ多くもそんな人達と何故か知り合ってしまった私は今日もファンクラブの目を恐れながらも仲良くさせてもらっていた
最近では何故かマネージャーに抜擢されてしまったのでせめて迷惑をかけないように頑張ってます、早起きを…!
…話を戻すと、現在進行形で皆の目を気にしつつ恥ずかしさを隠しつつで動揺しているところを悲しいことに丸井くんに指摘された
「ほら、ありがとう困ってんだろうが」
「ありがとうは恥ずかしがり屋さんじゃのう」
「違うだろ!」
「ぅー…」
当たってるんだけどなんか意味が違う!けど引っ込み思案な私は人に強く物言いが出来ない
なんてチキンなんだ私…そう思っていると天からの使いが
「二人とも、朝からありがとうを困らせるのは止めな」
「げ、幸村」
「げ、とは聞きづてならないな仁王」
相変わらず笑顔が眩しいこの方こそ天からの使い、神の助け…
うん、神の子って呼ばれてるらしいからかけてみたんだけどかかってるのかなこれ…
ああ駄目だ私、センスないかも…
「自己完結するありがとうも可愛いね」
「え、声に出てた!?」
「まさか」
こういうところが驚くし怖いのですがそれこそ声に出す事は出来ずに苦笑で誤魔化す
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栞