「そういえば財前くんって誕生日いつなの?」

『7月20日』

「は!?もう過ぎてるじゃん!!!」

『あーそういえばせやな』

「…」


忘れてたと言わんばかりの彼の声に思わずため息をつく


「もう8月じゃん…お祝い出来なかった」

『じゃあ次会うた時言うて』

「でも…」

『本人が言うてんねんからええやろ、気にしすぎや』

「…じゃあ、プレゼント何が欲しい?」

『音彩』

「へっ…!?」


驚いて変な声を出すと彼は冗談だと笑った…冗談に聞こえなかったんですけど


『名前呼びでええよ』

「ひ、ひか、る…くん」

『なにきょどてんねん、後くんいらんわ』

「なんか恥ずかしい」


恥ずかしさから少し上ずった声が出てる 
でも名前を呼んでからなんとなく嬉しそうな声色になったのがわかった


『名前呼びで恥ずかしがっとったらなんもできへんやろ』

「なにするの?」

『ナニ?』

「…わかっちゃった自分がやだ、ほんとやだ」

『っふ』

「なに笑ってんの」

『…せや、忘れとった』

「あ、話逸らした」

『ええから…音彩』

「な、なに?」


早速さらっと呼ばれている名前にドキドキしながらも次の言葉を待つ


『俺ん家きぃひん?』

「…へ?」

そう言われてすぐに意味を理解できなかった…
え、家って財…光の家って家族の人と会うわけだよね


「なんか悪いよ、それなら私の家来たら…」

『ええって、俺ん家来ればええやん』

「でも、いいの?」

『おん、家族も会いたがっとるし』

「は!?なんで知ってるの私の事!」

『この前撮ったプリ義姉さんに見られた』

「あぁ…うん」


彼が合宿に行く前に私がわがままを言って取りに行ったのだ、
足の怪我もよくなってきたとはいえまだ完治してないから散々毒づかれたけど


『じゃ、詳しくは俺が戻ってきてからっちゅーことで』

「…わかった、じゃぁおやすみなさい」

『ん、おやすみ』


通話をきってから私はすぐに枕に顔を押しつけた…まだ顔が熱い
…電話越しでこの調子じゃほんとに大変かもしれない

なんて私が考えてる間にも、
光が先輩たちに通話を聞かれてて衝撃を受けてるなんて知る由もなかった

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