放置部屋 | ナノ


これが一目惚れというやつですか



「遅いでー財前!」
「すんません」




驚いた事がある、まさかの部長達まで女になっとった




……という展開では無かった


中学生とかやったら女子でも申請すれば
男子に混じって部活が出来ただろうが生憎自分は高校生
何故か俺は男テニのマネージャーという立ち位置になっとった
…正直面倒やねんけど、まぁしゃーないっすわ

そんなことより、自分が女になったというのに何事もないかのように進んでいく日常が怖い
このまま女のままやったらどうしようと思う、どんなに頑張って女になりきっても結局は男思考な訳で
将来的な話をするんやったら男を好きになる自信はこれっぽっちもないわ

「夢なら覚めろ状態やろこれ…」

否今自分は某神隠しの少女よりも絶望して言えると言えるだろう

そう思って毎日を過ごし早一ヶ月、戻る気配すらない
今日も朝から溜息をついていると何やらいつもと違う雰囲気の先生

「今日は転校生を紹介すんで〜!!イエ〜イ!」

謎テンションで一人盛り上がる先生に周りもがやがやしだす
というか俺的には自分の状況が現実離れし過ぎていて転校生に気がいかないのだが

「っじゃカモーン転校生!」

そう言われるとおずおずと言った感じでドアが開かれて一人の女子が入ってきた

「…」

正直、心臓掴まれたかと思ったわ 長い髪に染めた事なんてないんやろう黒髪、
ぱっちりとした大きい瞳に少しピンク色に染まった頬、平均より少し下な身長に…

「冬白、奈々緒です…これからよろしくお願いします」

声可愛すぎやろなんやねんこいつ

「冬白さんは人見知りさんっぽいからどんどん話しかけたってや〜席は…財前の隣な」
「!!」

先生、そらアカンでしょ
そう思って内心焦りまくっていたら隣に転校生…冬白奈々緒が座って少し控えめに笑った

「これからよろしくね?…えっと」
「財前光や」
「よろしく光ちゃん」


アカン、ほんまにアカン

女になって一ヶ月の俺、
正直まだ自分が女になったんやって実感もわいとらんのに早々に恋というものに落ちたらしい


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