放置部屋 | ナノ


はじまり



「…は?」


意味が解らないと呆けた一護がなんだか可愛く見えて思わず笑うとなに笑ってんだとおでこを小突かれた、地味に痛い


「お前今なんて言った」

「だからね、今回現世に来たのは隣町にある立海大付属高校に潜入する為だって言った」

「聞き違いじゃなかったのかよ…」


私と一護は一種の遠距離恋愛というものをしている 
いくら死神代行と言ってもこまめに尸魂界(ソウル・ソサエティ)に来れるもんでもないし
私だって席官としての仕事があるから休みの時にしか来れない…まぁ普通の遠距離よりは大目に会えてるだろうけど


「んだよ、どうせなら空座高校に潜入しに来いよ」

「いや一番安全な空座高校に潜入してどうすんの」


さっきのお返しだと言わんばかりにペチンと一護のおでこを叩く 

先ほどから保っている仏頂面を変えずに一護は隣に座る私の腰を抱き寄せた
私を抱きしめて何も言わずに私の肩に顔を埋める 
これは甘えてる時によくする行動であり実はこれされるのが好きだったりする
一護の頭を撫でてやると名前を呼ばれたので間延びした返事を返した


「男が言い寄ってきたら鬼道でもなんでも使え、身の危険感じたら寧ろ斬れ」

「いやいやいや暴力反対でしょ、まぁ縛道位は使う時があるかもしれないけど」

「俺以外の男は皆敵だと思え」

「暴君!」

「彼氏の俺ですら滅多に会えない奈々緒とほぼ毎日顔を合わせる男共だぜ?万死に値するってやつだ」

「いやいや一護さんキャラ変わってますって」


そう言ってもグチグチ言うので仕方なく全部聞いてあげることにした、私だって潜入するなら一護と同じ学校行きたかったよ


「で、お前当然ここ住みだろ?」

「うん、任務終了までは此処にいるよ」

「っしゃ」


嬉しそうに言った声に顔を見なくても私の好きな笑顔が浮かんでるんだろうと思うと私も自然と笑顔になる


「実は今回の任務ちょっとおねだりしてきたんだよね」

「おねだり…って何を?」

「んー任務終わったら一週間暇貰うっていう」


そう言うと抱きしめられる力が強くなった…うん、一護は素直だよね、素直なのはいい事だと思うよ



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