彼女と柳生
「雅治、ぎゅう」
「ん、こっちきんしゃい」
あの日から2人だけの時には奈々緒の本性を見る事が出来た
想像以上に甘えたな奈々緒に正直俺は骨抜きにされている
整った綺麗な顔立ちは一言で言うなら綺麗、けど彼女の本当の性格は可愛いの一言に尽きる
「雅治温かいね」
「奈々緒の方が温かいじゃろ」
「そうかなぁ?」
クスクスと笑う彼女が愛おしい、
これからもまだ見たことのない本当の奈々緒を見れるのかと思うと嬉しさが溢れる
誰も知らない、嘘で塗り固められた『柳生』の本当の姿『奈々緒』を
「ね、邪魔じゃない私、迷惑してない?」
「別に?寧ろ今までとのギャップにやられちょる」
「もう」
そう言って照れつつもぎゅうと更に抱きついてくる奈々緒…やっぱり可愛い
心配性、というより自分に自信がなく甘えたで抱きつき癖のある寂しがり屋な普通の…
いや、俺にとってはこの世で一番可愛いと思える子
彼女は自分…『奈々緒』と『柳生』を分けて考えている
彼女は二重人格な訳ではないはず…ならば一体何が彼女を縛りつけているのだろうか
「雅治?」
「…プリ」
「その言い方は言い訳を考えずに言い逃れようとする時のプリ」
「奈々緒には勝てんのぅ」
でも深くは聞かずにニコニコと笑って許してくれる奈々緒に頬が緩む
彼女を縛って居るモノがなんなのか、本当は知りたくて仕方がない
それを断ちきれば、彼女は気兼ねすることなく自然にこの笑みを見れるようになるのに
彼女には笑顔が一番似合う、だからこそ心からずっと笑っていて欲しい
そのためなら俺はなんでもする
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