生まれた意味
模範的な優等生、勉強も運動もできる憧れの存在
口々に囁かれる言葉は私の肩に重くのしかかった
違う、まだ足りない。
本当の『柳生』にはまだこんなものじゃ全然足りない
私が『柳生』になりきろうとすると、どうしても失敗してしまいそうになる
きっと努力が足りないのかもしれない、彼になるには、まだ努力が足りないのだ
もっと勤勉にならねばならない
勉強だって、運動だって人一倍頑張らないと
彼の出来なかった事をしないといけない
…それが私にできる精一杯の罪滅ぼしだ
「…どうして彼の場所を奪ってしまったんだろう」
苦しい、疲れた そんな心の悲鳴に聞こえないフリをする
私はまだ頑張れる、頑張らないといけない
「奈々緒は、この世界に要らない子なのにね」
どうして『私』は生まれてしまったのだろう
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