放置部屋 | ナノ


ゼロの距離



―――コンコン、ガラッ 


「奈々緒、入るで」
「んー」

なんと、私には広すぎるこの二階建ての家なんですが窓を開けるとあら不思議、光の部屋のお隣なんです
窓の間から行き来するの憧れてたから何だか素敵だなぁと思ったりする
…とか考えながら髪を乾かしている私です

大体乾かし終わったしドライヤーのスイッチ切って軽く梳かした

「奈々緒ーええ匂いする」
「わぁっ、いいいきなり抱きつかないで」
「嫌やー」

突然後ろから抱きついてきた光はまたしても首筋に顔を埋めて子供みたいにじゃれる

「奈々緒、やっぱ食べたい」
「そういうのは付き合った人達がすることですーカニバだったらお断りー」
「…奈々緒、ちょおこっち向いて」

なんだろう、そう思いつつ少し緩んだ彼の腕の中で
体を反転させるとちゅっと触れるだけのキスをされた

「へ…え!?」

い、いいいま!っき、きききキス!?

「奈々緒、絶対離さへん…大事にするから俺とつきおういてください」
「…は、い」

展開が唐突過ぎてフリーズしつつある私、でも、光の言葉の意味をゆっくりと沁み込む様に理解していく

私が返事をした後、完全に理解した時には彼との距離がまたゼロになっていた


.

prev / next

[TOP]