放置部屋 | ナノ


ベタ惚れ




「おじゃまします」
「いらっしゃい」

玄関を入った時に可愛らしい笑顔ではにかんでいた(頬染めというオプション付き)ので思わず抱きしめてしまった

「ざっ財前くん!?」

抱きしめた奈々緒さんはやっぱり見た目よりちっこくてふわふわしとった、ええ匂いするし
何より反応がかわええ、きっと真っ赤になっとるんやろうなぁ 
そう思いながら抱きしめる力を強めて首筋に顔を埋める

「財前くん…は、恥ずかしいから放して…?」
「嫌や」
「え!?」
「…名前で呼んでくれたら放します」
「!」

そう言うと少し暴れていた彼女がピタリと動きを止めて何も言わなくなった
少し気になって顔を覗き込むとやっぱり顔を真っ赤にした奈々緒さんがうるんだ瞳で此方を見上げてきた
っ…なんやその表情、襲いたくなるんやけど

「…光」

小さかったけど、その声はしっかりと俺の耳にも届いた

「光も、あの時みたいに名前呼び捨てで良いから」
「なんや、バレとったんか」
「バレとりました〜」

奈々緒さんが可愛らしく笑いながら俺の言葉を返して来た、標準語やからイントネーション違うけど其処がまたくるもんがある

「奈々緒」
「っふぁ!?」

耳元で囁くとピクリと反応する奈々緒

「耳弱いん?」
「ち、ちが…ひ、ぁ!」

啄ばむ様に耳朶を甘噛みすると少し色付いた声を出す
…アカン、これ以上は襲ってしまうわ

「奈々緒」
「っな、に?」
「食べてええ?」
「…何を?」
「奈々緒を」
「ば……馬鹿ぁああ!」

そう言って離れようとする奈々緒は耳まで真っ赤にしていた

「関西人に馬鹿はアカンで奈々緒」
「ううううるさい、危ない発言する光が悪い!」

その後も暫くひっついていたのだが無理矢理剥がされた、部屋の片づけ!と怒っている奈々緒もかわええと思う
…アカン、俺おもっとった以上に奈々緒にベタ惚れや


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