放置部屋 | ナノ


彼女は忙しい人



「…またかいな」

少し先でソファに座っているのは明らかにこの前の…冬白奈々緒だ
最初と違う所といえばソファとテーブルがある事位やな 
そう思いつつ近寄ると冬白先輩が何か呟いているのが聞こえた

「無駄の〜ないテーニスー、んー、あーエックシー」
「…」
「基本に忠実であるがーゆえのーパーフェク、テニッスん、あーエックシー」
「…自分何歌っとんねん」
「うわ!びっくらこいたぁ、なんでまた居るんですか財前くん今日もカッコいいですね」
「自分こそなんでおるん、てか何で敬語やねん」
「あ、カッコいい無視ですかまぁいいけど私偶に友達敬語使っちゃうから気にしないでいいよ」

変な歌を歌っていた(明らか部長の事歌にしたような歌詞やったけど)冬白先輩は驚き方も謎やった

「でもまた会えて嬉しいなぁ私もう夢から出れなくてもいい!」

何故か無駄に感動するアンタがようわからん…

「で、さっきの変な歌なんすか」
「スルーかよ…あれは、この前言った君達の漫画のミュージカルの歌」
「…俺らミュージカルにもなっとんのかい」

ミュージカルならあんな歌詞でもしゃーないわな…て、ちょいまてや

ミュージカルっちゅーことは俺役のやつも歌っておどっとるんか?
…柄やないし想像したないわ

「うん、青学勝って話終わったけど次連載始まってるからね」
「…」
「なんだっけ?U-17?」
「あぁ、あれか」
「あ、そっか…高校生だもんね」

もう過去の記憶なんだねと頷く彼女に内心驚いていた 
彼女のいっている漫画の中…というのは本当なのかもしれん

それとも俺の頭が相当いかれとって謎の幻覚が夢の中にはびこっとったりしてな

「そう言えば白石くんたち同じ高校なの?」
「…まぁ全員同じやけど」
「そうなんだ!一人くらい違う所いっちゃうかと思ったけど…皆仲良しだもんねー良かったよかった」

なんて言って笑う彼女はまるで弟の成長を見守る姉のように見えた
というか俺何時まで立っとるんやろうと思って隣に腰掛けると彼女が驚く

「ちょ、隣ですか!近いですよ美形自重しろこちとら免疫ないんじゃぼけ!」

最後の方の言葉使い荒いのがほんまの冬白先輩や思った俺は間違えとらんと思う


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