放置部屋 | ナノ


「またね」



「結構シリアスやんなぁ」

帰ってから夕食や風呂を早々に済ませて部屋のPCを立ち上げてから聞いたそれ
奈々緒て結構悲恋系の曲好んで聞く習性があるなーと思いつつも動画の画面を見つめる
写真が新しくなる度に男の子の表情がだんだん和らいでいる事が見受けられた…この子にも暗い過去的なもんがあるんか?

けど結構心に残る曲やと思いつつ聞き終わったと同時に携帯が鳴った 
着信表示を見ると奈々緒となっていたのですぐに出た

「もしもし」
『もしもし、遅くにごめんね』
「ええって、どしたん」
『声聞きたくなっちゃってさ』

それは同意だ、いっその事同棲したい位やねん
とおもっとると奈々緒がそう言えば曲聞いた?と切り出した

「聞いたで、明るいの想像しとったからシリアスで驚いたわ」
『あはは、次作は明るいけどねー』

そしてたわいない話をして通話が終わるもんやとおもっとった、けど奈々緒が突然黙った

「奈々緒?」
『…私ね、ほんとは別の話があって電話したんだ』
「?」
『光、今日も立ち眩みした?』
「…今日は起こってへん」
『…じゃあ、もうすぐだね』
「なに言うてん?」
『時間…もうすぐ日付け変わるよ』

奈々緒の言いたいことが全く読みとれずに首を傾げる

『星の在り処のさ、最後のフレーズが率直だけど好きなんだ』
「奈々緒?」

突然話題が戻ったことに違和感を覚えた

『だからね、私が光を好きなように、光も私の事を好きでいてくれれば絶対また会えると思う』
「…何言うてんねん」
『私は光が大好きだよ…だから、会えるって信じてる』

そう言われた瞬間凄い眩暈がして思わずベッドに倒れ込む
けど辛うじて携帯は耳にあてたまま

『光…ちょっとの間だけ、お別れかな…絶対また会えるって信じてるだから ―――』


またね、奈々緒のその言葉を最後に意識はブラックアウトした


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