気づけなかった
いい加減俺でも違和感に気付き始めたのは木曜日の事やった
火、水も立ち眩みがした
そして今日も立ち眩みがしたかと思ったら、日中でも立ち眩みがするようになった
「光、気分でも悪いの?」
「…なんでもあらへんよ」
「嘘だー目茶苦茶不機嫌そうな表情だし」
「最近立ち眩みすんねん」
「…それ何時から?」
そう言った彼女の表情こそ変わらなかったが瞳の色が変わったことに俺は気付かんかった
「月曜から、毎日起きた時になんねんけど今日はついに日中まで眩むようなった」
「…」
奈々緒は少し考え込んでからお医者さん行く?と心配そうに顔を覗き込んできた
「流石に可笑しいとは思うけど大丈夫や」
「ほんとに?無理してない?」
「大丈夫やよ、一瞬やし酷いわけやない」
そういうとまだ心配そうな表情やったけど
一応納得してくれた、俺の事で奈々緒を悩ませたくないしな
「ねぇ光今週の日曜日さ、開いてる?」
「開いとるにきまっとるやろ、奈々緒と会う気やったし」
「…ふふ、嬉しい」
可愛く笑う奈々緒、相変わらずかわええ
そして俺は最後の最後まで気付く事は無かった
この時奈々緒が覚悟を決めていた事を……
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