幸せが続いてほしいと思っただけなのに
「ねぇ光ちゃん」
「ん?」
「…その、呼び捨てにしていいかな?」
「ええけど、どしたん急に」
帰り道、何時ものように部活の帰り
…近々正式にマネとしてうちに入部する奈々緒はすぐ仕事を覚えてよく動いてくれる
それに同じ仕事を一緒にできるのはかなり嬉しかったりした…
で、一緒に帰っとる時に冒頭の会話に戻るわけやけど
「…ほら、戻った時光ちゃんとは呼べないし今から直しておこうと思って」
「…まぁ元々ちゃん付け違和感あったし」
俺的には呼び捨ての方が嬉しい、そう言うと奈々緒は笑う、ほんと可愛く笑うやつやな
「光」
可愛く俺を呼んだそれはちゃんが付いてるかついてないかだけで結構違う、なんかくるもんがあった
「アカン、結構くる」
「?」
「…奈々緒好きや」
「私も光が好きだよ」
そう言ってお互い笑い合って、何だか照れくさいけど嬉しい
「朝から気になってたんだけど…」
「ん?」
「それ、つけてくれてるんだ」
頬を染めながらちらりと此方を見てきた奈々緒にそれとは何を指しているのかがすぐわかった
「気づいとったん?言ってくれへんから気づいとらんのかと思った」
「なんか気恥かしくて切り出せなくて」
そう言ってはにかんだ奈々緒の表情のかわええことかわええこと・・・
ぶっちゃけ奈々緒が傍にいてくれるなら元に戻らんでもええと思い始めた
…タイムリミットはすぐ目の前までせまっとって
奈々緒はそれに気づいとったなんて、俺が知るのは随分先の話
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