放置部屋 | ナノ


魔法が解けるときは



「私も信じられなくて、怖くて不安で押しつぶされそうだったけど…光ちゃんが優しくしてくれた」

真っ暗で何処に進んでいいのか分からなくて
座りこんでる私に手を差し伸べてくれたのは光ちゃんだった

「私、光ちゃんのおかげでここでもやっていけるって思ったの…だから、ありがとう」

そう言うと光ちゃんも表情を歪める、なんと言っていいかわからないと言った様な表情だ

「私ね絶対言えないって思ってた…でも、光ちゃんが私を信じて打ち明けてくれたから…私も言おうって思った」
「奈々緒…」
「私は信じるよ、私は、ほんとの光くんの事知ってるから」
「!」
「大丈夫だよ、解けない魔法なんてないから…光くんは絶対元に戻れる日が来る」

そう言うとぎゅっと抱きしめられた、心なしか震えてる気がした

「アカン…俺一ヶ月の間で精神的にも女々しくなったかもしれん…」
「良いよ、私しか居ないんだから弱み見せてよ」

そう言って頭を撫でると肩に顔を埋めてきた、流石に泣いてはいなかったが、少しの間震えていた

「大丈夫、大丈夫だよ…」


私はそう……自分に言い聞かせていた

解けない魔法なんてない、だから私も…元の世界に帰る日が来てしまうだろう


忘れたくない、せめて彼女との…彼との思いでだけは
忘れない様にしっかりと胸に刻んでおこう

彼に開けてもらったピアスと一緒に、一生忘れない様に


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