放置部屋 | ナノ


彼女のカミングアウト


結局光ちゃんの勢いに負けて一緒にお風呂に入ってきたわず
まさか光ちゃんに襲われる(※襲ってません)とは思わなかったぜ…と着替えた後も恥ずかしいから若干距離をとる

「奈々緒、なんか距離空いてへん?」
「だ、だって…」
「奈々緒」

おいでおいでする光ちゃんが可愛かったので大人しく言う事を聞きます、はい
そして何故か後ろから抱き締められる、え、何それ気にいったの?
てかむ、胸が当たってるんですけど
光ちゃんはおんにゃの子だけど私としては男としても若干見ちゃうから恥ずかしいものは恥かしい

「な、今から言う事、変やと思っても受け流してや」
「…私の頭の中は常に変だから大丈夫だよ」
「なんやそれ」

ふっと笑った光ちゃんに私も苦笑するけど…何だか何時もの光ちゃんじゃないみたい

「あんな…ほんま信じられんと思うねんけど…ウチ、いや俺男やってん」
「…ふ、ぇ?」
「一ヶ月前まで確かに男やってん、けど突然起きたら女になっとって…周りもそれが当たり前みたいになっとって…」

どんどん自信がないというように小さくなっていく声にホントの事なんだって思った
光ちゃんが女の子になってることにビックリしてたのは、私だけじゃなかったんだ
彼女自身も自分の変化に驚いて…不安で

「光ちゃん、怖かったよね」
「ぇ」
「いきなりの事で戸惑ったよね、不安だったよね…話すのも勇気がいると思う」
「…」
「話してくれてありがとう光ちゃん…私は、信じるよ」

そう言うとぎゅっと抱きしめられる力が強まった

「奈々緒適応力ありすぎやろ…普通こんな話信じへんて」
「信じるよ…だって私も異端児だもん」
「……?」

振り返って光ちゃんの手をギュッと握る

「私も…この世界の人間じゃないから」

声が、震えた。

信じてくれるとか言う以前に、口に出すのが怖かった…きっと光ちゃんもこんな気持ちだったんだろう


.

prev / next

[TOP]