「いい加減にしぃや!」


ある一人の女子が怒鳴った声で柚がビクリと身を縮こまらせた


「何で何時までも媚うっとんねん」

「私、媚なんて売ってない…!」

「口ではなんとでも言えるわな…ならこれでわからすしかあらへんやろ」

そう言って思い切り手を振り上げた
それと同時に柚はギュッと目を閉じるが、何時まで経っても衝撃が来ないことに疑問を覚えてゆっくりを目を開けた


「自分ら何しとんねん」

「ぁ、白石く…」

「柚、怪我無い?」

「白石くん、それに皆も…どうして」

「どうしてってお前が言う気あらへんならこっちで勝手につきとめようおもてな」


そう言って皆は女子を睨みつける


「自分ら何でこんなことしてん」

「…や、やって、転校生のくせに白石くん達に媚売ってるし!」

「そうや、宮野さんやって自分が目立たないための隠れ蓑やて言うてる癖に!」

「…そんなの、誰が言ってたのよ」


そう明日が言うと皆は一斉に口を閉じて言いにくそうに視線を逸らす


「…誰が言ってたのって言ってるの!」


思い切り明日が怒鳴ると一人の女子が思わず口を開く


「村井さんよ!…この前笠間さんがそう言ってたの聞いたって!」

「村井さんが…?」

そう言って驚く人達の中で信じられないと言った表情の人が一人いた

「もう柚を虐めるのは止めや」

「っ…」

女子達は悔しそうに顔をゆがめながら走り去っていった


「しかしなんでまたあの村井さんが…」

「せや、あの子大人しいっちゅーかなんちゅーか」

「…みおは」

「え?」


小さく口を開いた明日に皆が視線を集める


「みおは、そんなことする子じゃないのに」

「明日、村井さんの事しっとるん?」

「……色々事情があるのよ」


言いにくそうに表情を歪めると小さく溜息をついた


「多分屋上に居るだろうからみおに聞いてくる、皆は先部活行ってて」

「やったら俺らも…」

「来ないで、皆が居るとみおが怖がる」

「は?怖がるて…」


訳が分からないと言った感じで首を傾げる謙也に明日が面倒そうに言う


「あの子は、人間不信なの!あんまり大勢で行くと追いつめられちゃうかもしれないから」

「人間不信て…そんなけったいな」

「だから、色々あるのよ」


一瞬悲しそうな表情をした明日は直ぐに強気な表情に戻る


「とりあえず、私だけで行くから」

「あ、ちょ…」


止める皆の言葉をしかとして明日は一人屋上へ向かった


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