財前光と365days | ナノ

いつになってもブランコ見かけると乗りたくなる


「好きです」

どうしてこういう展開になっているのだろう 

あれ、今日部活無いからって光くんに一緒に帰ろうって言われて
ふと公園見たら久々にブランコ乗りたくなって

『光くんブランコ乗りたい!』
『ええっすよ…ぜんざいさんはしゃぎすぎや』
『だって』

彼はそんな私の変なお願いを聞いてくれて…あれ、どうしてこうなった


「えっと、光くん?」
「ぜんざいさん前の恋引き摺っとるでしょ」
「!」
「やから、回りくどいことせんと直球に行こう思って」

真剣な彼の視線を受けてドキリとする、嬉しいと素直に思ったけど私の口はやはり素直ではなかった

「気持ちは嬉しいよ、でも…」
「ぜんざいさん、遠距離になるの怖いんですか」
「なんで、それ…」
「しいて言えば勘っすわ」

勘で私が遠距離が怖いなんてわかるはずない、きっと彼なりに思うところがあったんだろうな
でも結局自分が可愛いわけで、どんなに好きな人に好きといわれても遠距離が無理とか、
もしかしたら自然消滅なんてことになるのが怖い 
最初は引っ越し、次は年下なんて 

――私は遠距離恋愛の道から外れられないようだ


「俺は、遠距離になったくらいで別れたいとか思いませんよ」
「光くん…」
「会いたいとか、寂しいとか思うやろうけど別れたいなんて思いません、絶対」

信じて、いいのだろうか。

離れている間に別の人に気がいってしまったりしないのだろうか、不安は尽きない
けど真剣に向き合ってくれている彼の言葉を、信じてみたいと思う気持ちの方が強くなっていた

「ほんとに、遠距離でも別れない…?」
「はい」
「好きに、なってもいいの?」

そう聞くと彼はいつもみたいな不敵な笑みを見せた


「好きになってや、ぜんざいさん」


初めて、好きという気持ち以上に誰よりも彼の近くにいたいと思った



.
[ prev / next ]