財前光と365days | ナノ

こういう出会いもあると思います。





「お、財前やん」
「あ、ほんまや…俺ちょっかい掛けてくるわー」

謙也くんが意気揚々と廊下を通り過ぎようとしていた黒髪ピアスくん目掛けて突っ走っていった

「…あの人誰?」
「財前光、うちのテニス部の2年やねん」
「へー」

あ、謙也くんどつかれてる、先輩の威厳ゼロじゃん
そう言って蔵くんと笑っていると廊下にいる彼と目が合う

なんだろう、目が合った瞬間心臓が跳ねて金縛りにあったみたいに目が離せなくなった

彼も目を放してくれなくて私達は数秒遠距離から見つめ合っていた


「どうしたんぜんざい」
「な、なんでもない…何か目が合うと逸らし辛いよねーってはなし」
「あー解るわそれ」

蔵くんに話しかけられて視線を彼に戻す、すると謙也くんが何故か後輩である財前くんを廊下に残して戻ってきた

「ぜんざいー訪問者ー」
「訪問者て…え、てか私に?」
「おん」

何で今まさに初対面しているのに訪問されてるんだろうと首を傾げる
取りあえず待たせるのもあれなので向かうとする
というか連れて来いよ謙也くん、上の学年の教室って入りづらいんだぞ

「えっと…私に用って君でいいんだよね?」
「おん、俺であっとりますわ」

うわ2人とは違うジャンルのイケメンだわこの子、ここのテニス部のレベル高っ

「謙也さんに聞いたんですけど、白玉ぜんざいさんですか?」
「そだよ、蔵くんから聞いたんだけど財前光くんであってるよね?」
「間違いないっすわ、名前で呼ぶんで名前で呼んでください」
「わかった」
「あと、―――」 


一目惚れってあると思います?

私は先ほどの金縛りの意味を早くも理解してしまった 

初対面の彼は、早くも私の心を盗んでしまったようです。


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