財前光と365days | ナノ

大学生と高三財前くんで遠距離とか




「…ん?」

目を覚ますとまだ見慣れない天井が視界いっぱいに広がった
光と付き合い始めてあと少しで四年が経とうとしている、私は大学生になった 
もちろん東京に上京してきて今では一人暮らしだ
四年も経っているのに私と彼の仲は悪くなるどころかバカップル健全で周りから呆れられるほどだ

「懐かしい夢、見たなぁ…」

あれは私がまだ彼の事を光くんと呼んでいた頃、付き合う前までの夢だった
枕の横に置いてあった携帯を開くと時刻表示は8時、私にしては珍しい時間に起きたものだ…もちろん今日は休みだからだが

「会いたいな…」

ふと呟いてしまった言葉にハッとして首を振る 
いけない、会いたいと思ってくれてるのは光も同じなんだから
そんなに頻繁に会いに行ける距離ではないのでわがままは言えない、ましてや彼は今年受験生という身なのだ
でも要領のいい彼はきっとAOで受かってしまいそうな気もしないでもない

「だけどなぁ、サボったりピアスしてたりだもんなぁ」

授業めんどいと言いながらだべっていた彼を思い出して苦笑する
次会えるのは彼が夏休みに入った時…というか多分テニス部の全国大会の時だと思う
その時は私の家に泊まるとか決定事項のように言っていたのを思い出した

「今日は起きて早々に思い出すことが多いなー」

光関係の事に関しては考えていて苦ではないのでいくらでもというところだが…

「そろそろ朝食作らないと」

そう思っていると携帯が着信を告げた

「…もしもし?」
『ぜんざいがこないな時間に起きとるの珍しいな』

もちろん、光は今日私が休みなことを知ってるから言った言葉である。
休みじゃなかったらもう支度してる時間だからね。

「今日は光の夢みたから寝起きよかったの」

そういうと彼が無言になった、あ、今絶対照れてる

『…ぜんざい』
「なに?」
『今からいってもええ?』
「駄目に決まってるでしょ」
『チッ』
「舌打ちしない、というか今関東大会の時期でしょうが」
『せやけど俺おらんくても勝てるし』
「だから駄目だって」
『ぜんざいは会いたくないん?』

「会いたいけど、光の大事な時だし…お金は貯金しときなさい」
『オカンか』
「お母さんじゃないけどお金は大事だよ」
『先輩の言うことやし素直に聞くわ』
「えらいえらい」
『…次会うた時覚悟しときや』
「ぅ…」


絶対、絶対忘れない。
彼は無駄に記憶能力いいし根に持つタイプだから次会ったとき何かしらしてくるに決まってる
でもそんなことも含めて次会う日がとても楽しみになった。

光の夢を見て光の声が聞けて、今日は良い一日になりそう


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