財前くんがスマホなら一生買い換えない自身ある
「ぜんざいさん」
「…」
「ぜんざいさん」
「何光くん」
「かまってください」
私は後ろからかまってかまってと抱き着いてくる光くんに困っている
この前、前の携帯を壊してしまったから新しいものを買おうとした時に運命の出会いをしてしまったというか
ちょっと寂しげな瞳をしていたのが妙に気になって思わず買いますってその場で叫んじゃったのは恥ずかしながらいい思い出だ
その後の驚いた彼の顔もその後少し泣きそうにはにかみながらおおきにって言われた時はなんか凄いときめいた
最初は借りてきた猫みたいに懐かなかった…というかこっちの様子を伺ってたというか
今では私より偉そうに踏ん反り返ってるし…まぁ素が出せるっていうのは凄いいいことだと思うけど
「ぜんざいさーん」
「もうかまってちゃんだな光くんは」
「ぜんざいさん限定っすわ」
そう言いながら頬をすり寄せてくる彼は本当に猫なんじゃないかと思った
私はそんな考えに苦笑しながらアプリを起動する
「今日は何で遊びます?」
「とりあえずぷよぷよ」
「ぜんざいさん結構頭使うの好きやろ」
「ばれた?」
「学校は強制されるから嫌ってことっすよね」
なるほど、光くんは結構私の事分析できているようだ
未だに後ろから抱き着いてくる彼
今では彼がくっ付いてるのが当たり前になっている、離れてるのってトイレとお風呂位だ、寝る時まで布団に入ってきやがって
お風呂も防水だからって入ってこようとした時は人生で一番焦ったといってもいいだろう
「ぜんざいさんあんま携帯いじらない人?」
急に言われたその言葉はどこか不機嫌そうに呟かれた
「なんで?」
「だってスマホって使う要素多いのに俺の事あんま使わんし」
「…」
ば、ばれてる…さり気なく使わない様にしてる事が…
どう答ようか困ってると後ろでシュンとしてるのがなんとなくわかって嘘はつけないなと思った
「私携帯使い荒いから…すぐ充電なくなっちゃうし…それで壊しちゃったら嫌だし…」
「ぜんざいさん…」
最初は彼の寂しげな瞳をしてほしくなくて咄嗟に私は彼を選んだ
今は彼のいろんな表情を見てるうちに逆に私が手放せなくなってしまったのだ
「出来れば、長く一緒にいたいの…ほんとは使わないで一緒にいるだけでもいい」
「ぜんざいさん」
ポンポンと頭を撫でられたのでアプリを終了して後ろを振り向く、ちょっと感情的になって涙目になってるのを見られたくなくて俯き気味で
「俺もぜんざいさんとは長く一緒に居たい、わがまま言えばほかの携帯とかスマホ選んでほしくない」
「光くん…」
頬を両手で包まれて自然と上を向かされ彼と目があった、彼は思った以上に優しい表情で私を見つめていた
その瞳にはあの時のような寂しそうな色はなく、逆に私から見てもわかる位幸せそうな、優しい色が滲んでいた
「俺そんなすぐ壊れるような柔なつくりやないっすよ、新機種やし」
「うん、わかってるけど…」
「心配性やなぁ」
それでも、彼は嬉しそうにおでこをこつんと当ててきた
「ぜんざいさんが一緒に居たいって思うてくれる限り一緒におるよ」
「光くん…」
「笑ってください、俺はぜんざいさんの笑ってる顔が一番好きです」
「…うん」
私が笑うと光くんがまた綺麗に笑った、私だって一緒の気持ち
光くん以外の子になんて目いかないし、ずっと君と一緒に居たい
…これからもよろしくね、光くん
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