クラスで夏風邪が流行っているので
「最近私のクラスでも流行ってるけど…」
光から学校を休むというメールをもらってから今日一日学校がとてつもなく憂鬱だった
ようやく放課後になってスピードスターも驚きのスピードでお見舞いに来たのにこいつパソコンなぞいじりやがって…
その後頭に響かないようにグチグチとお説教をしつつベッドに連れてきたところ
「まさか光までひくなんてね」
「…」
悪かったなとわざとらしいジト目で見てくるがあえて触れずに続ける
「いい、パソコンは絶対ダメ、携帯は長時間いじらないこと」
「わかっとりますて…ごほっ」
咳をする彼の頭をくしゃっとなでる
「あー無理して話さなくていいよ、喉痛いでしょ?」
「…」
「そんな目してもダメだってば」
さっきから無理に話そうとしたり、怒ると目で訴えてくるし…どっちかにしてほしい。
でも話すと喉に負担かかるからできれば後者でお願いしたい
「あ、薬飲んだ?」
「…まだ」
「てことはご飯もまだか…光のお母さんに頼んでくるね」
そう言って立ち上がろうとするが彼は私の手を引いて立ち上がらせてはくれなかった
「光、離して」
「嫌や」
「…薬飲まないと治んないよ」
「別に、ええし…ぜんざいさん、看病してくれんねやろ?」
「そりゃ、するけど…」
「なら、薬いらん」
光のその言葉にちょっとときめいたけどすぐにハッとして宥めようと試みる
「それはダメだよ」
「…」
「元気にならないと部活もいけないし」
「…風邪のほうが、ぜんざいさんんこと独占できますもん」
「な…っ」
流石に今度は頬が熱くなった
言い返すこともできなくて口をパクパクしていると光は気を良くしたのかなんなのか勝ち誇ったように笑う、ちょっとむかつく
そのまま腕を引かれベッドに前のめりに倒れる、かろうじて光の上に倒れずにすんだ
「も、危な…ぇ、ちょっと!」
私が怒ろうとしたらそのままぎゅーっと抱きしめられる
低体温の彼も熱がある今はさすがに暑い…とかそういう問題じゃなくて!
「ぜんざいさん、っこほ、いかんといて」
「っ」
「離れたら…それこそ、薬飲みませんよ」
「〜っ」
耳元で風邪のせいで掠れている彼の声を聞いた途端顔だけじゃなくて全体的に体温が上がった気がする
光が寝るまで、数時間振り回され続けたのだった
――全く、心臓がいくつあっても足りない
.
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