東雲夕様より財前夢2
付き合う前までのわたしたちは、ただ他の人たちより少し席が近くなる割合が多く、またなぜか二年間も同じクラスになってしまったにもかかわらず、必要最低限の話しかしないというごくありふれたクラスメイトやった。
そして今のこの甘えん坊のぐーたらぶり。
いまひとつ、どう接していいか分からない。
「ちぃ、頭撫でて」
「・・・はーい」
珍しく目を合わせたから何を言うかと思えば、まさかのナデナデを強請ってきた。
前の席の子の椅子を借りて、少しツンツンとした頭を撫でる。
「光くん?そろそろチャイム鳴るで?」
「・・・鳴るまで」
そう言った瞬間、チャイムが鳴って担任が入ってくる。
「・・・チッ」
「え、舌打ち・・・」
光が席を立ったのでわたしも前の席の子に一言謝って席に着く。
「すごいね、ちぃちゃん」
「え?」
担任の話が始まった途端に、前の子に話しかけられる。
「今まで告った子、こっ酷くフラれてきたのにあっさり付き合って。しかも財前くんデレデレやん」
「それ、わたし自身もついていけへんわ」
「でも、めっちゃ幸せオーラ出とるで?」
「・・・そうやんなぁ」
そう。
散々言っときながら、結局わたしは幸せなのだ。
彼の変化に戸惑うのも、
彼の甘えっぷりに呆れるのも、
彼に席を占領されるのも、
全部楽しくて仕方がないのだ。
そう思ってにやけながら、この顔を光が見たら、『何にやけとんねん、流石にそれは可愛くないで』とでも言われてしまうんだろう。
戸惑いと幸福
(光、かわええな)
(なんや複雑なんやけど、とりあえずおおきに?)
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