私から緋浪様へ財前夢2




結局あの後白石くんの部長権限を駆使して部活が終了するまで解放してもらえなかった光くんは本当にご愁傷様だと思う


「緋浪!」


終わってからはほんと忍足くんも驚きのスピードで帰る支度を済ませてきた


「早かったね」

「そりゃ謙也さん達に茶々入れられるんメンドかったからや」


そういいつつ私の手をさらう光くん
家の近い私たちは徒歩通いで、部活帰りは必ず彼と手をつないで帰る
一見冷めている彼だが私が不安になることなどない位優しくしてくれる
毎日が楽しくて幸せで、こんなに充実していていいのかと思ってしまう


「…なんか」

「ん?」

「このまま緋浪とどっかいきたい」

「遠出?」

「ちゃう、駆け落ち」

「…どうしたの急に」


彼にしては変なことを言い出すので不思議に思って見上げてみる
するとパチリと目が合い自然とお互いの歩みが止まる

不意に、繋がれた手に力が込められた


「…俺、正直自信ないんや」

「え?」

「緋浪をずっと笑わせたる事」 


いつも私より年上かと思うんじゃないかってくらいリードしてくれる彼が初めて不安を口にしたのだ


「アカン、俺自身の事でも精一杯っちゅーのがめっちゃダサいわ…」


悔しそうに呟く彼をたまらず抱きしめた
道端とかそんなの関係なかった。


今はただ彼の事だけに夢中で、初めて見せてくれた彼の不安を私は支えてあげないと


「こんな時期だし、迷うのも仕方ないよ」

「…緋浪」

「光くんのペースでゆっくり歩こう?私も一緒に悩んであげるから」

「…こういう時緋浪のが先輩なんやて年の差感じるわ」

「たった一歳でしょ?」

「一歳の壁、結構高いねん」


弱弱しく抱きしめ返してくれる彼が本当に愛おしい


「好きだよ光くん、何があっても一緒にいようね」

「…おん、俺もめっちゃ好き」


いつも大人びてる彼がこんなに弱ってるのは初めてだけど、新しい彼の一面を見れてう
れしかった
私もいつか彼のように未来のことに不安を覚えることがあると思う

でも私達なら、お互いを支え合って前に進むことがきっとできるって信じられる
だって私は今日も明日も、ずっとずっと光くんのことが好きだから




あとがき
…遅くなった挙句リクに添えてなさげですみません><
財前くんはいろんな難しいことばかり考えて簡単なことを見落とす感じだと思います
天才な頭いいタイプによくある…のかはわかりませんが(ヲイ
苦情いくらでも受け付けます!
緋浪様、この度は相互本当にありがとうございました!

緋浪様のみお持ち帰り可能です


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