私から鶯色様へ


「…ごめん、俺別に好きな子がいるから」

「そっか…うん、ありがとうはっきり言ってくれて」


そんな感じで、私の初恋は例に洩れず叶わなかった。

彼が居なくなり夕日が差し込む教室に
ただ一人ぽつんと立っているとなんだか物悲しくなってきた


「はぁ…」


好きな人が自分を好いてくれる可能性なんて半分にも満たないんだろうな
私は自分の席について顔を押し隠すように腕に埋めた
何となく好きだな程度だと思ってたけど
私は自分で思っていた以上に彼の事が好きだったのだろうか

今になって悲しさがあふれてきた
泣くのは嫌だったけど少しだけ零れてしまった涙がセーターにしみ込んだ


「何やってんだよ鶯色」

「…亮」


聞き馴染んだ声が私の耳を擽ったので涙をさり気なく拭きながら顔を上げる 

すると亮が少し不機嫌そうにこちらに歩いてきた


「お前帰宅部の癖に何居残りしてんだよ」

「亮こそ…部活は?」

「今日はねぇよ」

「じゃあなんでいるの…?」

「…」


その質問に彼は答えずに私の前の席へと座った



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