幸村とバレンタイン






「ハッピーバレンタイン」


そう言って可愛くラッピングした袋を渡すと驚いたような顔をされたので自然を眉をひそめてしまった


「何その顔」

「いや…くれると思ってなくて」


そういいながら袋を受け取る彼は未だに信じられないように目を瞬いている


「あげるにきまってるでしょ、一応彼女なんだから」

「君もイベント事に乗るんだね」

「当たり前でしょ」


確かに周りの女の子よりは冷めてるっていう自覚はあるけど私だって女の子だ、恋だってするしイベント事には乗っかりたい


「それ以上に私は精市がもらってくれる方が驚いたよ」


「なんでさ」

「今日はプレゼントに困らないでしょ?」

「君以外からの贈り物は断ってるよ」

「うわ、女の子たち可哀想…」

「じゃあ俺が他の子からプレゼント貰ってもいいっていうの?」

「それは…嫌だけど」


けど折角自分の思いを込めて作ったり買ったりしたそれを断られるなんてショックだろうに…


「本命じゃないなら受け取るっていえばいいのに…」

「それ皆義理って言ってくるだろ」

「いいじゃん、勘違いするような子は弾き返せるわけだし」

「…まぁそれでこそ茜だよね」


苦笑しながらいう彼は私の事をよくわかっている
何せ付き合い始めたのは最近だが友達だった期間は凄く長かったわけだ

淡泊…というより面倒だった私はバレンタインに友達にお菓子をあげる程度しかしていなかったわけだ


「それで、もう開けてもいい?」

「どうぞ、あげた時点で精市のものだし」

「じゃあ遠慮なく」


そういって開けた精市はこれまた意外そうな顔をした


「ガトーショコラってまた凝ったもの作ったね」

「暇だったからね、甘さ控えめだよ」

「ってことはお弁当も手作り?」

「そうだけどどうしてそこにたどり着いたわ訳?」

「凝ったものを作るってことは料理慣れしてるってことだろ?」

「…作ってこいとか?」

「流石」


その一言しか言わなかったが私には十分威圧的だ
ため息をつきつつ了承する私はどうも彼には弱い

彼が怖いとかそういうのじゃなくて、押しに弱い方ではないのだが彼に頼まれれうとまぁいいかと思ってしまう自分がいる

取あえず気が早いが来年のバレンタインは何を作ろうかなと思考を巡らせた



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