仁王と誕生日






聞き覚えのある音楽に私は眠りのそこから引き上げられた 
ぼうっとする意識の中でも電話の音だと聞き分けゆっくりとした動作で枕の横に置かれたスマホへと手を伸ばした


「…もしもし」

「茜」

「…まさはる?」

「正解、寝てた?」

「んー…」

「くくっかわええのぅ」

「ぅー…」



耳障りの良い低音が耳元を擽り少しだけ覚醒してきたが、やはり眠気に勝てずに単調な返事しか返すことができない
ふと外を見るとまだ暗くてふと今何時なのかが気になった


「まさはる…」

「ん?」

「今、何時?」

「2時」

「2時…はやい…」

「すまん、朝まで待てんで」

「まつ?」


どんどん覚醒しては来たが眠気が飛ばずにぼうっとしていると
雅治はそんな私の状況がわかっていたのかヒントと悪戯をするような声を出した



「今日は何月何日じゃ?」

「12月…2時だから、4日…ぁ」

「わかった?」

「まさはる、誕生日」

「正解」


先ほどから当てる度にクイズの様に正解だと褒められる
ここでっようやく朝まで待てないの意味が何となくわかった ようやく覚醒してきたので寝ない様に起き上って言う


「雅治」

「ん?」

「お誕生日おめでとう」

「…ピヨ」

「プレゼント楽しみにしてね」

「茜がくれるものなら何でもいいけどな」

「え、じゃあシャー芯」

「…スマン今のは嘘じゃ」

「私も冗談だよ、ちゃんと用意してあるから」

「プピーナ」



なんだかんだ言って目が完全に冷めてしまった私は
その後も電話を続けたのであった


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