柳生と誕生日




御昼過ぎ、午後の授業は眠くなるのであまり気が乗らないついでにサボってしまった
このまま寝てしまおうかなと思った時にガチャリと重々しい音を立てて屋上のドアが開いた


「あれ、仁王くんまたサボり?」

「そういう茜もサボりナリ」

「あはは、そうだね」


彼は良くサボる、そして私もよくサボる…所謂悪友という事になるのだろう
といっても凄い仲がいいわけでもないけど、私がサボる時は大抵屋上に彼が来るわけで自然と話す様になっていた

今日も何か話そうかと思ったのだが兎に角眠い、私はその場に寝転んで目を閉じる 

――ペチ


「仁王くんは私に喧嘩を売ってるのかな」


トントンと肩を叩く程度の弱い力でおでこを叩かれ渋々目を開けると
私の近くでしゃがみながらあきれ顔をする彼が視界に映り込んだ


「お前さんほんとに女子か?」

「失礼な、これでも女子だよ」

「せめて壁によっかかって寝ろよ」


最近知った事なのだが彼は稀に素を出す事がある

大体標準語になった時は素が出た時だと思っている、あくまで私が勝手に思ってるだけだけど


「しょうがないなー…」

「ほれ、肩かしちゃる」

「ありがと」

「即答…」

「まぁ少しでも楽に寝たいし」


こういうところでは女捨ててるかもしれないと考えを少し改めたが言い直すのも癪だったので思うだけに留めた
彼に寄り掛かるとすぐに先ほどよりも強い眠気が襲ってきて私はすぐに瞼が重くなった
 
ああ、そうだ、彼に言い忘れたことがあった


「ねぇ」

「何じゃ」


もう、ほとんど寝る寸前なんだけど…寝る前にこれだけは言っておきたかったから



「今日ね、仁王くんに言っておきたい事…あってさ」

「なん?」

「…誕生日、おめでとう…柳生くん」

「!」


その後すぐ眠ってしまったのでいつも一緒にサボってくれてありがとう
その言葉がちゃんと発することができたのかどうかは彼だけが知っている



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