切原と誕生日





「せんぱーい!」


いつものように元気な声が朝から聞こえてきて私は振り返る前に笑いそうになった


「赤也今日も元気だね、おはよう」

「はよっす!茜先輩!」


見える、見えるぞ…私には彼に耳と尻尾がついてるように見える…


「先輩、今日は何日っすか?!」

「え、25日…あ、赤也お誕生日おめでとう」

「ありがとうございます先輩!」


可愛いなぁもう、やっぱり犬にしかみえn(ry


「それにしても本当にプレゼント良かったの?」

「いいんすよ、その代り放課後ちゃんと残っててくださいよ?」

「わかってますって」


どういうことなのか、それは数日前の事だった


『茜先輩、俺25日誕生日なんすよ!』
『え、そうなの?』
『はい、だからその日放課後開けといて欲しいんすよ』
『いいよ、プレゼントとか欲しいものある?』
『いや大丈夫っすよ全然!先輩が放課後開けといてくれればそれで!』
『えちょ』
『じゃあ楽しみにしてますねー!』


という謎の経緯から今日にいたる 
別に放課後は暇だからそこは気にならないのだがプレゼントが要らないというのもちょっと気になる
そんなこんなで放課後、赤也の誕生日なのにわくわくしてる私はいったいどうなのだろうか


「あ、茜先輩!…待ちました?」

「んーん、全然」


というか私の教室に来るより私が彼の教室に行った方が良かったのではと少しだけ思った、後悔先に立たず。


「先輩、急なんですけど聞いてください」

「ん?何?」

「茜先輩、俺先輩の事すっげー好き」

「…へ」

「付き合ってください!」

「…ぇえ!?」


言われた言葉を理解するのに数秒のラグがあったが理解できた、しかし理解したらしたでとんでもないことを言い出したなと思った


「私なんかでよければ…」

「っしゃあああ!やっぱ迷信は本当だったんすね!」

「え、迷信?」


またとんでも発言。
赤也ってテニスの時はあんなに暴走してるのに普段は別の意味で暴走してるよね。


「仁王先輩が自分の誕生日に好きな相手に告白すれば絶対付き合えるって迷信があるって!」

「…赤也、それ嘘だよ」

「え!?」

「そんな迷信聞いたことないし」

「ま、またやられた…でも今回は仁王先輩のお蔭で茜先輩と付き合えることになったわけだし…!」



ポジティブな所は私も見習いたい、とりあえず彼の誕生日なのでこれ以上野暮はことは言うことでもないだろう
来年からは彼の誕生日と、付き合い始めた記念日の両方をお祝いできるといいな


.