一氏と誕生日
「ユウジー!!」
廊下で後ろからけたたましい声で呼ばれ振り返るとケーキを持った茜が笑顔で走ってきた
しかし何かがおかしい、何故生身のケーキを持って走ってくるのだろうか…ま、まさか
「茜?…おおおお!?」
「おたおめーっ!!!」
「ちょ、おまっへぶっ!!!」
待てという言葉はケーキのスポンジの中に消えた
まさかと思ってから心の準備やら何やら、全部間に合わなかった
どっちにしろ後の祭りなので今は顔からケーキをとる事に専念する
「っ、ほんま、茜なにすんねん!」
「え?なんでってお祝い?」
「お祝いでケーキ投げるんかい!」
「私の前の学校やみんなやってたけど…」
どんな学校だと言ったら四天宝寺には負けると言われた…いや誰か誕生日のたびにケーキ投げる学校もどうかと思う。
確かに今ので結構な笑いは取れた…あ、これいけるかもしれん…ってちゃうわ!
周りの奴らなに笑いながら写真撮ってんねん!
「ケーキまみれになってもうたやん!」
「大丈夫だよ、ちゃんと食べる用のケーキもあるし」
「ちゃうわボケ!」
「ぷぷ、嘘嘘ちゃんとわかってるよ、濡れタオルとかちゃんと用意してあるよ」
そう言いながらも茜も写真を撮る手は止めない
不意に聞きなれた声が聞こえてきて慌ててあたりを見渡すとやはりというべきか白石たちが携帯片手に笑っとる
「…って小春まで笑わんでも!」
「あらぁユウ君ったらケーキまみれになっても輝いてるわよー?」
「ほんまか!?」
「おいおい…」
「ま、ちゃんとしたお祝いは放課後な!」
そう言った白石の言葉通り放課後はちゃんと祝ってもらった
…ただ茜の学校での恒例行事らしいケーキ投げが流行りだしたのは俺のせいでないと思いたい。
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