私と君
好き
誰もいない教室で私は何をするわけでもなく広げたノートにそう書いていた
決して本人には言わないと決めていた言葉を、気づけばノートに書いてしまっているなんて
「…情けない」
私はその文字をすぐに消した、彼への思いを断ち切るように
彼の隣には可愛らしい彼女が居る
私じゃ無理なこともわかってる
でも悔しかった
転校してきた彼女はすぐ彼と仲良くなって、いつの間にか付き合いだしていた
悔しい、私の方が長い事彼の隣に居たのに、本当の意味での隣は簡単にとられてしまったなんて
「好き、だったよ」
私はそう書いたノートのページを破って折る
彼には決して届かない言葉、だけど紙飛行機に思いを詰めて飛ばしたら踏ん切りもつきそうで
そっと飛ばすと窓から入ってきた風に乗って紙飛行機はふわふわと不安定に飛んでいく
「ぁ」
紙飛行機は床に落ちることなくそっとキャッチされた
私が驚いてる間に彼は紙飛行機を開いて中に書いてある言葉を見てしまっていた
彼は何を言うわけでもなく私に近づいてきた
困惑する私の頭にポンと手を乗せられた
その時初めて気持ちが溢れた
悔しかったことも悲しかったことも
―――いつの間にか目の前の彼に恋を始めていたことも、全部悔しくて涙が零れた
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