財前と誕生日



これの続きです




「にしてもえらい再生回数…」


私が驚きを通り越して呆れに近い表情で画面を見るとぜんざいpこと光は当たり前だと言い張る


「まぁ茜の歌やしな」

「…」

「俺、あげる前にまずipodに曲入れたし」

「ちょ、何してんの!」

「俺宛の曲やし当然やろ」


それは予想もしない返答で思わず声を荒げるが彼は笑って受け流すのでそれ以上は何も言えない
確かに彼が作ったとはいえ彼のために歌ったわけであって…それ以上言うことはなかった


「それにしたって私まで歌うことになるなんて…」

「コメント見た瞬間これしかないなて思ってやった」

「むしゃくしゃしてやったみたいに言うな!」


そういうが彼はツーンとスルーを決め込むので私はふくれっ面のまま続ける


「もー…返事返したのに改めて言ってくれないの?」

「あー…誕生日やし言ってもらう側がええ」

「は!?」

「ほんまは俺から言いたかったんやけどまぁええやろ」


ええやろ、じゃねぇよ!こういうのは男から言うもんじゃんか!!
叫びをぐっと飲み込んだのは彼の誕生日なのは本当だし今日位彼の言うことを聞いてあげようと思ったから


「今日は、特別なんだからね…誕生日だから私から言うだけだから」

「茜いつの間にツンデレ属性になったんや」

「…ツンデレじゃないもん」


言い返した私の声が若干震えているのは恥ずかしいからである、どうしよう直視出来ない…

でもこういうのって適当に言ったら駄目だよね、ちゃんと言わないと 

顔がすっごく暑いけど頑張って光の目を見つめる



「光っ…す、好き、だよ」


どんどん語尾が小さくなってしまったがそれでも光は嬉しそうに笑ってくれた


「おおきに、俺も茜んことめっちゃ好きや」

「う、んっ」


恥ずかしさで爆発しそうになっていた私の腕を引き抱きしめてくれた

なんとなくぎこちない私達だったけど、この瞬間は今までのどの瞬間よりも幸せなんだって、そう思えた



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