七夕と謙也





「七夕だけどやっぱり曇ってるね」

「せやなぁ」


曇り、というか雨が降り出しそうなほど厚く黒い雲が空を覆っている
私はいつもの事だけど見れそうにない天の川に少しガッカリしながら隣でドリンクを飲んでいる謙也に聞いた


「私天の川見たことないんだけど謙也ある?」

「おん、一回だけな」

「ぇえ!?いいなぁ…」

話によると私が転校してくる前の話らしい
くそうどうして田舎に暮らしてたのに見たことないんだ私は…
しかも謙也に負けるとか、なんかショックだなぁ


「今失礼なこと考えたやろ」

「なんでわかったの?」


私が驚いてそう聞くと聞いたはずの彼がはぁ?!と驚いた 
なんでお前まで驚くんだヘタレスターよ


「ほんまに考えてたんかい!そこは否定するところやろ!」

「えー?」

「…財前といいお前といい俺の扱いひどすぎやろ」

「そんなことないよ」

「あるわ!アホ!」


そういうとわざとらしくふてくされるのでとりあえずシカトしておいた


「一年に一度かぁ…あーあ織姫可哀想」

「茜珍しくロマンチックなこと言うんやな」

「彦星浮気してたらぶっ飛ばす」

「そこかい!ちゃうやろ!」

「だって一年に一度とか…っは」

「なんで鼻で笑ったん!?」


謙也悉くツッコミ入れてくるから会話疲れるな…まあ楽しいからいいんだけど
なんて考えながら曇っている空をボーッと見つめる


「茜が織姫やったら」

「ん?」

「俺、意地でも渡るけどな」

「ぇ…」


無駄に真剣に言う彼の顔がカッコ良かったのが悔しくて私は憎まれ口を叩いた


「謙也、渡ってこれるわけ?」

「浪速のスピードスター舐めたらアカンで!水の上でも走って行ったる!」

「忍者かお前は」


今度は私が彼の言葉にツッコミを入れたが彼が水の上を走っている姿が何故か想像できて苦笑した


「謙也が彦星だと少し心もとないんだけど」

「おい!」

「…まぁ来てくれるの待つよ私が織姫だったら」


そう言ったら謙也はキョトンとしてから嬉しそうに笑った

来年は晴れて欲しいな、それでもって謙也と一緒に天の川がみれたら…なんて