かっこ可愛い幸村と名前呼び





「幸村くんって可愛いよね」

「は?」

「あ、顔とかじゃなくて男の子だなーって」

「ちょっと意味が分からないんだけど」


そう言ってムスッとする彼を見てやっぱり可愛いと思う 
彼は女の私から見ても悔しくなるくらい美人で、何でもできる

まさに誰もが羨む完成形っていうイメージがあったから告白された時は凄い驚いた
私なんかでいいのかという思いより、私なんかに告白するのに顔を赤くして本気で好きと言ってくれた彼に驚いた
私は彼の上辺しか知らなかったのだと、同時にそんな彼の本質をもっと知りたいとも思った

その日から私はたくさんの彼を知れた 
カッコよかったり可愛かったり意外と妬きもち妬きだったり…

「茜、俺の事考えて可愛い顔してくれるのは嬉しいんだけど本人がいるんだからかまってよ」

「あ、ごめんね」

「ところでさ、いい加減名前で呼んでほしいんだけど」

「…幸村くんじゃダメ?」

「茜だって何れ幸村になるだろ」


さらりと言ってのけた彼は相当な強者だと思うわけなのだがどうだろうか


「わ、私でいいの?」

「茜以外に誰がいるの?」


彼にそういわれると絶対大丈夫だという自信がどこからか湧いてくる不思議 
彼の言葉には魔法みたいなものがある気がする


「俺にとって好きになるのは茜が最初で最後だよ」

「さ、さらっと…!」

「茜は俺以外に興味あるわけ?」

「まさか」


そういうとふわりと花が咲くように笑う、今この瞬間までかっこよかったのにまた可愛い系になった
なんだろう、癒しのオーラが出てるんだろうなきっと


「名前、呼べるように頑張るね…せ、精市」


不意をついて呼んだ名前に彼は驚いたように目を見開いてから無邪気に笑った

――あ、また新しい表情を知れた


「…うん、やっぱり名前呼んでくれた方が嬉しいな」


こんな風に笑ってもらえるなら早く名前呼びになれたいな


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